みなさんこんにちは。
Graging Toolsです。
革製品の魅力やお役立ち情報をご紹介しているこのブログ。
今回は、「コバのお手入れ」についてお伝えします。
みなさんは革の「コバ」って何かご存知ですか?
前回のブログでも少しだけ触れましたが、革を製品に仕立てる時、裁断した革の断面を「コバ」と言います。
この「コバ」は色々な方法で仕上げられます。
そして、正しくお手入れすることで、革製品がとても長持ちするのです。
まずは、なぜ「コバ」が革製品にとって重要なのかをご説明しましょう。
その後、「コバ」の簡単なお手入れの仕方をお伝えします。
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コバを漢字で書くと「木端(コバ)」になります。
裁断した革の断面はざらついていて木目のように見えるので、そのような呼び方になりました。
実は、このコバの部分が製品のデザインや耐久性を大きく左右するのです。
見た目を美しくするという点で言えば、「コバの処理」をどのような仕上がりにするかで品物のデザインや美観が変わってきます。
耐久性という点では、へりの部分をちゃんと整えることで、品物を摩擦や衝撃から守るという役割があります。
確かに一部には、デザイン性重視であえてコバを加工しない。
革の野生感を生かすという品物があります。
しかし、コバをそのままの状態にしておくと、革の繊維がほつれてひび割れができてしまう、あるいは先端がめくれあがり黒ずんでしまうなど、破損の原因になりかねません。
ナチュラルな仕上がりのコバの品物も魅力的ではありますが、耐久性が弱く、毛羽立ってしまうかもしれないというデメリットがあることを忘れないでくださいね。
革製品の美しさと耐久性という面でとても重要な役割を果たす「コバの処理」。
次にその「コバの処理」の種類をご紹介します。
革製品は、「コバの処理」の仕方で様々な見た目に変化しますし、耐久性も変わってくるのです。
処理の方法は大きく分けて5つあります。
1, ヘリ返し :薄い革でコバの断面を隠す方法
2, 切り目製法 :複数枚の革を重ね縫い合わせる方法
3, 生成り仕上げ :軽くヤスリをかけナチュラルさを残す方法
4, 切り目本磨き :目止め液を塗布しマットな色合いにする方法
5, コバ塗り仕上げ:色つけやニスでツヤを出す方法
1のヘリ返しは、多くの革製品で使われている方法です。
ふちのみを重ねるので、比較的薄い仕上がりになり、見た目もすっきりとした印象になります。
ただし、ヘリの部分の耐久性があまり高くないものも多いため、長持ちしない可能性があります。
2の切り目製法は、へり返し同様、多くの革製品で使われている方法です。
ヘリ返しのようにコバを隠さず、塗料を塗ったり、ワックスで磨き上げるので、職人の高い技術が求められます。
3の生成り仕上げは、革のナチュラルさを残す方法。
先ほども述べた通り、軽くヤスリをかけるだけでコバに加工をしないため、コバが劣化しやすいデメリットがあります。
4の切り目本磨きは、コバの表面をヤスリがけしフラットな状態にした後、目止め液を塗布して乾かし、布で磨きあげる方法です。
マットな色合いになり、なめらかで触り心地が良いのが特徴です。
5のコバ塗り仕上げは、顔料や塗料で色つけする、ニスでツヤをだすなどの方法です。
ツヤがでるので色合いが鮮やかで、手触りはなめらかなのが特徴です。
これらの処理が施されて初めて革製品は出来上がりとなります。
革職人が細部にまでこだわって仕上げる革製品。
「コバの処理」をいかに整えるか、革職人の技量が必要ですし、品物の表情や耐久性が大きく異なってくるのがお分かりいただけましたでしょうか。
では、コバの簡単なお手入れの仕方をお伝えしたいと思います。
コバは傷や摩擦を受けやすく、傷みやすい部分です。
コバを定期的にケアすることで、痛みを和らげ、また強く保ち、革製品を長く使えるようになります。
お手入れに必要なものは次の4つ。
1, ブラシ (馬下ブラシなどがBestです)
2, サンドペーパー (#400~#800)
3, レザークリーム (カラー付きのものでもOK)
4, 清潔な布2枚 (または布と綿棒)
さぁ、準備ができたら早速コバのお手入れ開始です。
まずはブラッシングです。
馬下ブラシ(馬の尻尾の毛を使ったブラシ) などでブラッシングし、細かな部分に入り込んだホコリなどを取り除いてください。
馬下ブラシは、革製品のお手入れの定番と言えます。革製品をお持ちでしたら1本持っておくと便利ですよ。
ブラッシングで余分なホコリなどを取り除いたのち、サンドペーパーでコバの表面を磨きます。
まずは#400から全体がサラサラするくらい削りましょう。
注意点は、力を入れ過ぎないこと。
削り過ぎたり、革が伸びたりしてしまうので、優しく撫でるように行なってください。
サンドペーパーを#400~#800まで上げながら3回くらい磨けば、細かい傷もなくなりきれいになります。
コバの面積はとても小さいので、布に少量つけて塗るか、布の代わりに綿棒を使って塗ると効率よく塗れます。
少し多めにたっぷりと、表面を馴らすように塗り込んでいきます。
塗り終えたら、30~40分ほど乾かします。
仕上げは、コバの部分を乾いた布で拭き取ります。
あまりゴシゴシやってしまうと、せっかくクリームを塗ったコバのカラーが剥がれるので軽く撫でる程度にしておきましょう。
作業をする際は、クリームが洋服に付着すると落ちなくなくなる可能性がありますので、エプロンをつけるなど十分にご注意くださいね。
今回は、革製品にとって重要な役割を果たしている「コバ」についてご説明しました。
革職人が細部にまでこだわって磨き、整える「コバ」の仕上がり。
「コバの処理」の仕方で見た目の美しさや耐久性が変わってくること。
そして、「コバ」を定期的にお手入れすることで、革製品の寿命はぐんと伸びることが伝わったでしょうか。
「コバ」は、お手入れすることで、長年使い込んで深まった本体をキリリと引き締めてくれる、上質なアクセントになります。
愛着のある革製品にこそ、コバのケアをして長く愛し続けてくださいね。