みなさんこんにちは。
Graging Toolsです。
革の魅力やお役立ち情報、革にまつわる豆知識をお伝えしているこのブログ。
今回は、「革」の歴史についてご紹介したいと思います。
人間は旧石器時代から狩猟を行い、毛皮をまとってきたと言われています。
人類との付き合いがとても長い「革」。
どうやって私達は「革」と向き合ってきたのでしょうか。
その営みを振り返ります。
「かわ」を漢字変換すると「皮」と「革」両方が出てきますよね。
みなさんは、この「皮」と「革」の違い、わかりますか?
皮は生の状態だと腐りますし、乾燥すると硬くなってしまいます。
鞣(なめ)しという腐食を施した加工をするか否かが、キーポイントです。
つまり生の状態を「皮」、鞣しを終えたものが「革」。
英語では、「皮」をスキンと呼び、「革」はレザーとなります。
古代の鞣しの方法は、動物の皮を横に両手でピンと張っていたそうです。
漢字の「革」は、その姿が由来とされています。
また、「革」という漢字は、革命や改革という字にも使われますね。
その意味は「あらためる」というもの。
「革」は「皮」の性質を変えたものという意味合いもあるのです。
革は鞣し加工を施したもののことを指します。
人類が毛皮を鞣し始めたのは、紀元前3000年より前だとされています。
というのも、アルプス・チロル地方の標高3200メートルにある氷河で、革製の帽子や服を身に纏った冷凍ミイラが発見されたのです。
1991年のことでした。
アイスマンと呼ばれたそのミイラは、紀元前3300年ごろのものと推定されました。
5種類以上の動物の皮が使用されていて、当時から既にさまざまな種類の毛皮を、用途に合わせて鞣していたことがわかったのです。
この発見から17年後の2008年、新たな革製品がアルメニアの洞窟で見つかります。
モカシンに似た革靴でした。
こちらは、紀元前3500年ごろのものと判明。
革靴は、牛革製でほぼ完全な形で残っていて、靴ひももありました。
これが、今のところ現存する最古の革製品とされています。
中世のころになると、鞣しの方法や加工技術がどんどん発展していきました。
革はさまざまな商業組合によって管理されるようになります。
当時は、アラブの人々が最高の革製品の技術者とみられていました。
ヤギから作るモロッコ革が高く評価されていたのです。
1760年代に入ると、イギリスでタンニンエキスを鞣しに使う方法が考案されました。
タンニンによって鞣した牛皮は、「ヌメ革」と呼ばれ、今でも「革の中の革」として最高品質を誇っています。
ただし、タンニンの鞣しは大量生産に向かず産業革命以降、「クロム鞣し」というものが普及します。
「クロム鞣し」とは、クロム、アルミニウム、鉄などで皮を鞣す加工のことです。
現在では、この「クロム鞣し」が主流となっています。
日本でも古代から革製品があったと考えられています。
「日本書紀」によれば、4世紀ごろ百楽から革を裁断する技術が伝えられ、4世紀末には、革職人が渡来し革を製造したとされています。
大阪府豊中市の古墳からは、約1600年前のものと思われる革製の盾や鎧が発見されています。
また、奈良県の古墳からは、約1300年前のものとみられる鹿の革の袋(ポシェットのようなバッグ)が見つかっています。
このころの革製品は、おもに天皇や貴族のような上流階級のために用いられていました。
庶民の間に広まるのはずっと後になってからです。
戦国時代になると、革は戦(いくさ)の場で重宝されるようになります。
革は鉄よりも軽く硬さがあったため、鎧兜に使われたのです。
鎧の部分には牛革に漆を塗ったもの、兜には鹿の革に装飾を施したものなどが用いられました。
戦国時代が終わり、江戸時代に入ってやっと革製品は庶民の手の届くものとなります。
財布やたばこ入れ、雪駄や羽織ものなど身近なものに次々と取り入れられました。
布よりも燃えにくかったことから、火消しの纏(まとい)にも用いられています。
古代から私たちの身近にあった革製品。
鞣しの技術が発達すればするほど、より高品質で丈夫な革製品が登場してきたようです。
そのデザインや品質は、今でも衰えない魅力を持っています。
はるか昔の先人から受け継がれている革製品の知識や技術、これからも輝き続けることでしょう。